子どもとトマト
七夕直前ということで、あちこちに飾られた笹竹には、短冊がこれでもかというほどぶら下がっている。
通りすがりに目に入った薄桃色の短冊には、気合の入った子どもの字で
「トマトになりたい。」
とあった。
かなり昔のことだが、某所にて4~5歳くらいの子どもたちと遊んでいた時、やはり七夕の飾りを作りながらある女の子が打ち明け話をしてきた。
「ナキネコちゃんと私だけのひみつだよ。」
うんわかった、どうしたの?
「あのね、わたし将来、トマトになるの。」
彼女は短冊に
「トマトになる。」
と書いた(私が下書きをしたのを太いマジックでなぞった)。
その短冊はえらく目立ったのでヒミツにはならなかったが、立派な誓いである。
トマトには一定数の熱狂的ちびっ子ファンがいるのだなと思った夕暮れ。